【MotoGP基礎の基礎】開幕前テストにも影響する、2026年のコンセッションを知ろう
テレビや記事で見ていて「なんとなく知っている」単語だけど……。
そんな単語や情報を解説する、「MotoGP基礎の基礎」シリーズ。
今回は「コンセッション」についてです。
現在のMotoGP(ここでは「MotoGPクラス」のことを指します)において、コンセッションはとても重要です。というのも、シーズン中やオフシーズンのマシン開発に大きく関わってくるから。「何がどう関わってくるの?」。それをこれから説明します。ただ、コンセッションのようなレギュレーション、つらつらと解説されてもつまらないですよね。というわけで、ここではできるだけポイントを解説していきます。
そもそも、コンセッションって、何?
現行のコンセッション、つまり、コンストラクターが4つのランク(A、B、C、D)に分けられるようになったのは、2025年からです。現在では、すべてのコンストラクターがコンセッションのいずれかのランクに属しています。
2024年以前は少し違っていて、コンセッションの適用を受けたコンストラクターは、開発や技術的な開発の規制が緩やかになる、というものでした。過去にはKTM、アプリリア、スズキなどがコンセッションの適用を受けてきました。ドゥカティの場合は、2010年代中盤のコンセッションの前身となる「オープンクラス」を選択して戦った時期がありました。
そもそもコンセッションは、おおまかに言えば「技術的な規制を緩やかにして、成績の奮わないメーカーが速いメーカーに追いつく」ために設けられた緩和措置のようなものです。上に挙げたドゥカティ、KTM、アプリリア、そして現在は撤退してしまいましたが、スズキもコンセッションを適用されたところから、のし上がってきました。
2025年から始まったコンセッションの目的も、基本的には同じです。これによって、各メーカーのパフォーマンス差を小さくして、各メーカーが競争できるチャンピオンシップとなることを目指しているわけですね。
ランクによる違い
それでは、コンセッションのランクによって、どのような違いがあるのでしょうか。
ランクAからCは、基本的な枠組みは共通しています。テスト用タイヤの本数やワイルドカード参戦の回数など、ランクが上にいくほど規制が厳しい、といった細かな違いはありますけどね。
一方、ランクDになると、かなり規制が緩やかになっています。大きなポイントを挙げるなら、「プライベートテストにレギュラーライダーが参加できる」「エンジンをシーズン中もアップデートできる」ことです。
2025年シーズン終了時点の評価により、2026年開幕時点では、ランクAはドゥカティ、ランクCはアプリリア、KTM、そしてホンダで、最も規制が緩やかになるランクDはヤマハとなります。
コンセッションのランク分けはコンストラクターズ・チャンピオンシップにおいて獲得したポイントの割合に応じて行われるのですが、これを細かく説明していくと長くなるので、最下部に【豆知識】として「ランク分けの仕組み」を記します。興味がある方は読んでみてください。
さて、こうなると、「ランクDを脱すると、デメリットもあるのでは」と思いますよね。しかし、コンセッションは、あくまでも「優遇措置」であり、規制が「緩やかにされている」状態なのです。2025年シーズンにランクDを脱したホンダのテストライダー、アレイシ・エスパルガロはバレンシアGP日曜日の囲み取材で、こう語っていました。
「ホンダがシーズン中にすごくハードワークしていたのは、僕たちの考えとして“コンセッションを失う”つもりでいたからなんだ。だから、強いエンジンを手に入れるためにハードワークしてきたんだ」
ホンダは、2026年はランクCとなりました。シーズン中にエンジンのアップデートはできません。それを見越して、2025年、開発を推し進めてきたのですね。
ホンダは2026年仕様のエンジンを使用できる
ここで、もうすぐマレーシアのセパンで行われるシェイクダウンテスト、公式テストに関わるポイントがあります。
「エンジンのアップデート」です。
ご存知の通り、MotoGPは2027年から技術規則が変わり、排気量が850ccに縮小されます。このように新しい技術規則になることを受けて、2026年は「原則として」エンジンのアップデートができません。2025年終了時点でランクAのドゥカティとランクCのアプリリア、KTMは、2025年シーズンの開幕前に提出し、承認を受けたエンジンの仕様で2026年シーズンを戦います。
しかし、ホンダとヤマハは違います。
ホンダは、2025年終了時点の評価によってランクCになりました。2026年シーズン前にエンジンを変更することができます。ただし、そのエンジンは承認を受けなければならず、承認を受けたエンジンで2026年シーズンを戦います。シーズン中のアップデートはできません。
ヤマハはランクDなので、2026年シーズン中はエンジンのアップデートが可能です。
というわけで、ホンダにとっては2年ぶりに「開幕前にエンジンの承認を受ける」ことになります。というわけで、同じランクCでも、アプリリアやKTMとは少し状況が異なるんですね。
今回のコンセッションの説明は、かなりポイントをしぼったものです。今後、シーズン中に関連するレースやトピックスがあれば、GPジャーナルで詳細に説明したいと思います。
【豆知識】コンセッションのランク分けについて
付与されうる最大ポイント数(2025年シーズンは814ポイント)
=決勝レース開催数×25ポイント(優勝で獲得できるポイント)
+スプリントレース開催数×12ポイント(優勝で獲得できるポイント)
これに対し、コンストラクターズ・チャンピオンシップで獲得したポイントの割合によって決定される。
※ポイント数は2025年シーズン終了時点のもの
ランクA:85%以上…ドゥカティ 768ポイント(94%)
ランクB:60%以上85%未満…該当なし
ランクC:35%以上60%未満…アプリリア 418ポイント(51%)、KTM 372ポイント(46%)、ホンダ 285ポイント(35%)
ランクD:35%未満…ヤマハ 247ポイント(30%)
対象となる期間は二つ
・シーズン開幕戦から最終戦:
翌シーズンの開始時点のランキングを決定
・サマーテスト禁止期間終了後の最初のイベントから、翌年のサマーテスト禁止期間直前の最終イベントまで(今季の場合、2025年オーストリアGP~2026年ドイツGP):
2026年シーズンの残り期間に適用されるランキングを決定
すでに登録済みの方は こちら