ちょい掘りMotoGP|2025年シーズン観客動員数を見る。日本GPは9万人…いちばん多かったのはどこ?

2025MotoGPの観客動員数を見ていきます。
伊藤英里 2025.12.15
誰でも

2025年MotoGP、フランスGPは観客動員数31万人!

2025年シーズンMotoGP、各グランプリの観客動員数を見ていこう。観客動員数のデータについては、ドルナ・スポーツから提供されたものであり、データは「金曜日以前の合計」「土曜日」「日曜日」と、「週末の延べ観客動員数」が明示されている。

2025年シーズンの各グランプリ週末の延べ観客動員数を、多い順に並べると、以下の通り。括弧内は、2024年シーズンからの増減を記した。

1:第6戦 フランスGP:31万1,797人(+1万4,326人)

↑30万人以上

2:第11戦 ドイツGP:25万6,441人(+3,615人)

3:第1戦 タイGP:22万4,634人(+1万9,291人)

4:第5戦 スペインGP:22万4,420人(+4万3,131人)

5:第12戦 チェコGP:21万9,544人(前年開催なし)

6:第2戦 アルゼンチンGP:20万8,979人(前年中止)

7:第22戦 バレンシアGP:20万5,319人(+7万471人)

8:第10戦 オランダGP:20万104人(+7,550人)

20万人以上

9:第20戦 マレーシアGP:19万977人(+6,054人)

10:第15戦 カタルーニャGP:18万7,086人(+1万402人)

11:第21戦 ポルトガルGP:18万3,102人(+8,488人)

12:第16戦 サンマリノGP:17万4,821人(+1万1,263人)

13:第9戦 イタリアGP:16万6,074人(+9,398人)

14:第18戦 インドネシアGP:14万324人(+1万9,072人)

15:第3戦 アメリカズGP:12万5,806人(+3,247人)

16:第13戦 オーストリアGP:11万7,560人(△3万2,627人)

17:第8戦 アラゴンGP:11万2,633人(+5,212人)

↑10万人以上

18:第7戦 イギリスGP:9万9,328人(△1万8,539人)

19:第19戦 オーストラリアGP:9万1,245人(+560人)

20:第17戦 日本GP:9万96人(+9,965人)

21:第14戦 ハンガリーGP:8万105人(バラトンパーク・サーキットでは初開催)

22:第4戦 カタールGP:5万321人(+9,978人)

全22戦中、最も観客を集めたのは、フランスGPだった。毎年ル・マン-ブガッティ・サーキットで行われるフランスGPの観客動員数は非常に多く、2022年は約22.5万人、2023年は約27.8万人、2024年には29.7万人がサーキットにやって来た。

そして2025年は、ついに30万人を突破した。これは、ロードレース世界選手権で史上最多の観客動員数の記録だと公表されている。フランスGPの特徴としては、木曜日(あるいは水曜日)の時点で、すでに多くのファンがキャンピングカーなどでやってきて、週末を楽しんでいるということ。今年、金曜日以前の観客動員数は9万4,757人となっている(日本GPの延べ観客動員数よりも多い!)。とんでもない数である。

余談だけれど、ル・マンはメディア向けの駐車場がサーキット内にある。このため、ビール片手にふらふらと、大好きなライダーの名前を叫びながら道路の幅いっぱいに広がって歩く観客のなかを、そろそろとクルマで進まなければならない。クラクションを鳴らすと「もっと大変なこと」になると聞いているので、ひたすらにゆっくりと彼らの後ろを進むしかない。はらはらするばかりなのだが、彼らはクルマに気付くと「おっと、これは悪いね」とニコニコしながら、ふらふらと道を空けてくれる。緊張はするけれど、ル・マンのファンの熱量や楽しんでいる様子が直接伝わってくるシーンでもあるのだ。

次点がドイツGP。MotoGPクラスにはフル参戦のドイツ人ライダーがいないけれど、ドイツGPも毎年多くの観客を動員しているグランプリの一つだ。ル・マンといい、ドイツのザクセンリンクといい、公道レース時代から長い歴史を持つサーキットが上位にランクインしている。

3位はタイGPで、これはソムキアット・チャントラのMotoGP昇格で特に今年が多かった、というわけではなく(もちろん、チャントラの人気はとても高い)、タイのチャン・インターナショナル・サーキットは2018年からMotoGPが開催されて以来、2022年(約17.8万人)と2023年(約17.9万人)を除いて、20万人以上の観客動員数を誇っている。

日本GPは20位。延べ観客動員数は9万96人で、2024年の8万131人よりも約1万人増加した。過去10年間で最も観客を集めたのは2018年で、9万6,425人である。中上貴晶のMotoGPクラス1年目のシーズンであり、アンドレア・ドヴィツィオーゾとのタイトル争いを制したマルク・マルケスがチャンピオン獲得を決めたのが、この日本GPだった。これらが、観客動員の要因になったのかもしれない。

日本GPの観客動員数を、そのままヨーロッパの「MotoGP人気」と比較したくなるかもしれないが、ちょっと待ってほしい。もちろん、ヨーロッパのMotoGP人気は、日本よりも高い。知名度もある。「バイクもモータースポーツも興味がない」という人でも、「MotoGP」を知っている。断言することは危険だが、少なくともイギリス、イタリア、スペイン、フランス、ポルトガルにおいて、筆者は「MotoGPというのは……」という説明をしたことがない。ちなみに、イギリスではマン島TTレースも「ああ、マン島ね」という具合に通じる(なお、マン島はイギリスではない。念のため)。

とはいえ、日本が島国だということも、観客動員数が多くはない原因の一つになると思われる。これは主にヨーロッパのMotoGPを取材してきた筆者の印象だが、ヨーロッパの場合、各国が陸続きなので開催国以外の「外国人」が多く訪れている。例えばスペインGPのバイク駐輪場には、スペイン以外のバラエティーに富んだナンバープレートも並ぶ。

その観点でランキングを見てみると、オーストラリアGPの観客動員数も日本GPに近い。イギリスも島国ではあるが、ヨーロッパ大陸と近く、例年10万人以上を集めていた。今年については、天候と開催時期がよくなかったので観客動員数が減ったのかもしれない。イギリスの5月は、寒くて天候がいつも以上に不安定。「なぜ5月に開催するのだろう」と、多くの関係者が首をかしげていたのだ。

「その国に住む人」だけでカウントした観客動員数があったら、どうなるだろうか。残念ながらそのデータは手元にはないが、興味深いところだ。

2025年シーズンMotoGPの各グランプリ観客動員数をご紹介した。こうした数字で見ると、また違った視点でMotoGPを見ることができて、面白いのでは。いかがでしょうか。

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