MotoGP第17戦日本GP|ヤマハがFP1で新エキゾーストを投入
MotoGP第17戦日本GPの金曜日、午前中のフリープラクティス1で、ヤマハが新しいエキゾーストを投入した。
現地取材から、この新しいエキゾーストについてお伝えする。
FP1で新しいエキゾーストが登場
フリープラクティス1で新しいエキゾーストを使用したのは、ファクトリーライダーであるファビオ・クアルタラロとアレックス・リンス、そしてサテライトチームのジャック・ミラーである。ピットを確認したところ、3名ともに、2台のマシンのうち1台はノーマルのエキゾースト、そしてもう1台のマシンが新しいエキゾーストを備えていた。
これはフリープラクティス1だけのもので、午後のプラクティスでは、3名のライダーのマシンは2台ともに、ノーマルのエキゾーストに戻っていた。

日本GPのFP1で登場した、ヤマハの新しいエキゾースト©Eri Ito

©Eri Ito

こちらはノーマルのエキゾースト。午後にはすべてこのエキゾーストに戻った©Eri Ito
この新しいエキゾーストについて、金曜日終了後の囲み取材で、ライダーに話を聞いた。
クアルタラロに新しいエキゾーストを使用したか、と聞くと「ノー」という答えだった。バイクに問題があったため、新しいエキゾーストはほとんど使わなかったそうだ。
「(新しいエキゾーストでは)1周もしていなくて、その後、スタンダードのものに戻したんだ」
なお、クアルタラロはプラクティスを8番手で終え、Q2ダイレクト進出を果たした。十分に満足のいくプラクティスというわけではなかったが、Q2に進めたことはよかった、ということだ。といっても、クアルタラロはレースを楽観視をしているわけではない。1周のアタックラップでは、上位に食い込むことができる。ただ、レースになると持っているマージンの差が出てしまうのだ。
「“6周の”ペースは悪くなかった。でも問題は、僕は常に100%を出していて、他のライダーたち、例えば(プラクティスでトップだった、マルコ・)ベツェッキはペースにまだ少し余裕を残しているんだ。僕はすでに基本の走りで限界に達しているから、周回を重ねるごとに僕たちにとっては悪い方向になる。だから、“すごくいい”とは言えないんだ」
さて、エキゾーストの話に戻ろう。
ミラーも「(新しいエキゾーストを)試したけれど、ちょっと温度の問題があってね。使わないことにしたんだ」ということだった。
一方、リンスは少しのメリットがあったことを明かした。
「トライはしたよ。何か(違い)を感じたわけではなかったけどね。ただ、データ上ではパワーの面で少しよくなっているみたいだ。午後はスプリントレース、決勝レースに向けて取り組んだから、使わなかったんだけどね。でも、データ上ではほんの少し、いい。ライダーは感じてはいないけれど、いいことだよね。パワーが向上しているのだから」
もちろん、新しいエキゾーストが大きな変化をもたらす劇的な変更、というわけではないだろう。そして、前述のように、エキゾーストはすべてノーマルのものに戻された。
「エキゾーストについては、普段見慣れている形からすると大きな変更のように感じられる。確かに見た目は急激な変化に見えるけれど、大きな変更ではないんだ。ダイノでいろいろ試していて、いくつかのパーツを入れ替える程度のことだ」と、ミラーは語っている。
「僕たちは最大限のパフォーマンスを引き出そうとしている。特にもてぎではそうだし、マレーシアのように大きな負荷がかかるサーキットも控えている。だから、可能な限り小さな改良でも引き出していく必要があるんだ」
とはいえ、サンマリノGPでアウグスト・フェルナンデスがV4マシンでワイルドカード参戦をして、V4エンジンに注目が集まっている今、シーズンも終盤線に入ろうかというタイミングで現行のYZR-M1に、目に見える形での新しいアップデートが行われていた。今季のYZR-M1についても──シーズンを戦う以上、それは当然のことではあるけれど─、小さな改良を重ね続ける姿勢がこのアップデートからも窺える。
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