小椋藍、プラクティス5番手で好スタート。土曜日の焦点は|MotoGP第22戦バレンシアGP金曜日
バレンシアGP金曜日のプラクティスを5番手で終えた小椋藍。
Q2進出を果たし「かなりうれしい」と語った。
そんな小椋の土曜日、ポイントになるのは……。
転倒からのプラクティス5番手
MotoGP第22戦バレンシアGP金曜日のプラクティスで、小椋藍は5番手タイムを記録した。
2024年の最終戦は、洪水被害によってバレンシアではなくバルセロナ-カタルーニャ・サーキットで「ソリダリティGP・オブ・バルセロナ」として行われたため、リカルド・トルモ・サーキットでのMotoGPおよび最終戦の開催は、2年ぶりである。
木曜日の囲み取材で、小椋はバレンシアの印象について「どちらかというと、嫌いですね。あまりいいレースをしたことがないし、あまり強みを感じられないんです。レイアウトがあまり得意ではないのだと思います」と、率直に語っていた。
一方で、「今年はよくも悪くも自分の予想が外れることが多いので、ここもいい方向に予想が外れてくれるといいんですけどね」と、少し苦笑いしてもいた。
実際のところ、小椋の予想は「いい方向に」外れることになる。金曜日のプラクティスで5番手を獲得して、Q2ダイレクト進出を果たしたのだ。Q2進出としては今季5度目。プラクティスでトップ10に入ってのダイレクト進出としては、今季4度目となる。
プラクティスではセッション中盤に3コーナーで転倒を喫した。ただ、これはいわゆるライダーのミスによる転倒で、「理由としては本当にたいしたことはないんです。ゼブラとコース外の間にフロントを入れてしまい、それでフロントが切れ込んじゃっただけ」とのこと。その後に影響を残すような転倒ではなかった。
小椋はこの結果を「かなりうれしいです」と認める。
「(好きではないバレンシアで5番手タイムを出せた)要因としては、今日は走り出しからある程度よかったんです。そのまま少しずつ詰めていっただけですね」
12番手以上のグリッドからスタートできれば、レース後半にペースの落ち幅を抑えて走ることができる小椋の強みが、さらに生きる。Q2進出は、今週末に期待を抱かせる兆候と言っていいだろう。
ただし、水を差すわけではないが、懸念もある。金曜日は路面のコンディションがあまりよくなかった。ミシュランの二輪部門モータースポーツマネージャー、ピエロ・タラマッソのコメントによると、「昨年の洪水の影響で、サーキットはまだ本来のグリップレベルを取り戻していない」ということだ。
なお、これはその洪水被害の影響によるものか不明だが、金曜日の午前中、Moto3クラスとMoto2クラスのフリープラクティス1では6コーナーで転倒が相次いだ。Moto3クラスでは2回、Moto2クラスでは5回、6コーナーでクラッシュが発生している。現時点で正確だと言える情報ではないため詳報を避けるが、少なくともこのコーナーは滑りやすい状況だったようだ。
佐々木歩夢も6コーナーでクラッシュしたライダーの一人で、佐々木は足を負傷したため最終戦は欠場となった。佐々木と、彼と同じタイミングでクラッシュしたアドリアン・ウエルタスの転倒により、セッションは赤旗中断となり、コースコンディションの回復処理が行われた。
こうしたコンディションを踏まえてMotoGPクラスのタイムを見ると、トップのペドロ・アコスタが1分29秒240。2023年にマーベリック・ビニャーレスによって記録されたオールタイム・ラップ・レコードが1分28秒931である。2年ぶりの開催であることを考えれば、プラクティスの時点でレコードが更新されてもおかしくはない。コンディションによってタイムが上がらなかったのだ。
また、タイム差も非常に接近している。トップのアコスタから19番手のエネア・バスティアニーニまでが1秒以内のタイム差だ。近年のMotoGPクラスのタイム差が接近しているとはいっても、1秒以内に入ってくるのは、通常15番手あたりまでである。つまり、今回はかなりの接戦だと言える。
土曜日、コースコンディションが回復すれば──通常であれば、走行が行われるほどに路面状況はよくなるはずだ──、おのずとタイムも上がる。
小椋は、この僅差のタイム差とコンディション改善のなか、いかにQ2で上位に進出できるタイムを記録するか。それが、決勝レースに向けた一つのカギとなるだろう。
2戦連続でQ2進出を果たした小椋©Eri Ito
(トップ画像©Trackhouse Racing)
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