バルセロナ公式テストから:ヤマハ、セパン&ブリラム開幕前テストのポイントは
2024年シーズン最終戦ソリダリティGP・オブ・バルセロナの二日後、11月19日、バルセロナ-カタルーニャ・サーキットで行われたMotoGPクラスの公式テストのヤマハについてお届けする。
まずはテストの結果を確認しよう。なお、今回は2025年から「第2のファクトリーチーム」となるプリマ・プラマック・レーシングは初回のテストということもあり、ヤマハで継続参戦のモンスターエナジー・ヤマハMotoGPチームの二人、ファビオ・クアルタラロとアレックス・リンスに焦点を当てた。
クアルタラロは75周を走って、2番手。ベストタイムは1分39秒199。リンスは60周を走って8番手。ベストタイムは1分39秒568だった。クアルタラロは、レースウイークのQ2で記録した自己ベスト、1分39秒209を上回るタイムを記録している。順位についてはテストであることを考慮しなければならない。クアルタラロはQ2で記録したソリダリティGPの自己ベストで、10番手だったのだ。また、タイムについてもレースウイーク後で路面コンディションがいい、ということを考慮する必要がある。
むしろ気になるのは、テストの内容とライダーの印象だ。
「2024年、ヤマハは苦戦したまま終わったのか。クアルタラロの最終戦後の評価に見る」でも書いたとおり、ヤマハは取り組み方を変えつつある。
1日のみのテストだったが、ピットには3台のものマシンが並び、精力的にテストが行われていることが窺えた。
テスト後の囲み取材で語っていたところによれば、クアルタラロは、新しいシャシーとエンジン、スイングアーム、フロント部分のカウルの空力デバイスを試したという。リンスもほぼ同様だったようだ。
「ストレートからフルバンクになるエリアが改善されて、少し速くなった。これが最大の改善点だったんだ。次はリーンアングルからピックアップまでの部分を改善しなくちゃね。すでにエントリーについては改善の方向性がわかっているので、次は立ち上がりの改善だ」
こう語るクアルタラロに対し、リンスは「新しいシャシーで、コーナー中間でさらにスピードを上げられた」と語っている。
「ヤマハはブレーキングとエントリーを改善する必要がある。2024年はその部分でコンペティティブではなかったから」
クアルタラロは「コーナーエントリーが少し改善した」と語っていたので、つまり、そこを改善点だと捉えていたことになると考えれば、二人のコメントは同じところにいきつく。クアルタラロもリンスも、改善点にリアのグリップ(リンスは接地感と表現している)を挙げている。
「パワーとグリップ(が必要)。ずっとお願いしているものだよ。グリップに関しては、まだまだ全然なんだ。速く走るのにはいちばんに大事なものだと思う」(クアルタラロ)
「リアの接地感にずっと苦しんでいた」(リンス)
そして、ソリダリティGP・オブ・バルセロナの木曜日にインタビューした、ヤマハ・ファクトリー・レーシングのテクニカル・ディレクター、マッシモ・バルトリーニもこう語っていた。
「現時点でバイクのパフォーマンスが劣っている点は、他のバイクと比べてグリップが少し足りないことだと思います。ファビオはこれを『旋回性(がよくない)』と表現していたようですが、私としては、まだバイク本来の旋回性能自体は悪くないと考えています。ただ、他のメーカーと同じレベルのグリップを私たちは得られていない、あるいはグリップを十分に活用できていないため、そう感じることがあるのだと思います」
2025年2月、マレーシアのセパンとタイのブリラムで行われる開幕前のテストで、ヤマハの「グリップ」は、注視すべきポイントになりそうだ。逆に言えば、それが改善されて2月を迎えることができたなら、楽しみなシーズンになるかもしれない。
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