MotoGP第12戦チェコGP|スプリントに影響したタイヤ空気圧、ライダーはどうやって情報を知る?
MotoGP第12戦チェコGPのスプリントレースで発生した、タイヤ空気圧のトピックスについて触れていきたい。
経緯をまとめると、スプリントレース終了後、マルク・マルケス、アレックス・リンス、小椋藍のタイヤ空気圧について、「Under investigation(調査中)」とFIMスチュワード・パネルから発表された。
ミシュランがタイヤサプライヤーを務めるMotoGPクラスでは、最低空気圧における規定が設けられている。具体的には、スプリントレースでは30%の周回で、決勝レース(15周を超える周回数のレース)で60%の周回で、定められた最低空気圧に適合している必要がある。
つまり「Under investigation(調査中)」とされた3名はこの最低空気圧に違反していた可能性があったわけだが、最終的に、マルケス、リンス、小椋の全3名が「違反していなかった」と発表された。原因は、レースディレクションの警告システムにおける最低空気圧設定の誤り」であり、3名のライダーは正しい最低空気圧を遵守していたということだ。
なお、タイヤの空気圧がマルケスのレースに影響したことは確かで、「空気圧が低い」と知ったマルケスは、5周目にペドロ・アコスタにトップを譲って空気圧を調整した。ポールポジションからスタートしたフランチェスコ・バニャイアも、同じ理由でレース序盤にアコスタに順位を譲っている。ただし、バニャイアの場合はダッシュボードの表示に問題があり、実際は2周目以降、適正な空気圧で走っていた。
さて、それではライダーはどのようにしてレース中に「タイヤ空気圧に関する警告」を受け取るのだろうか。
MotoGPクラスでは、タイヤ空気圧モニタリング・システム(TPMS)および空気圧/温度(P/T)センサーによるタイヤの空気圧、温度の監視および記録の義務付けがレギュレーションに明記されている。
ただ、ライダーが受け取る「警告」は、上記とは異なりチーム独自によるもので、ダッシュボードに表示される。
小椋は、今回に関しては「たぶん送られてきたけれど、見ていなかった」と言う。ただ、テストでタイヤ空気圧に関する警告を試したことがあるそうで、そのときのことを説明してもらった。これは、トラックハウス・MotoGP・チームのケースである。
「(これまでにタイヤの空気圧に関する警告について)あまりメッセージをもらったことがないのですが、確かテストのときに『こんな感じで出るからね』と、出してもらった記憶があります」
「フロントタイヤに関することが、警告として文字で出ます。(走行中に読むのは難しいので)長いストレートで送ってもらうようにしています。それから、ライトでのお知らせもありますね。基準値にいくまでは赤くて、基準値に達したら緑になって、そのあとは消える、という風になっています」
今回の小椋の場合、トラックリミットに関する「警告」も受けており、こちらは確認していたという。ライダーは高速での激しい戦いを演じ、同時にタイヤの空気圧やトラックリミットなど、様々な状況を確認、対応しながらレースをしているのである。
(トップ画像©MotoGP.com)
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